玉野市立山田小学校・大崎小学校では、弊社の「GIGAスクールパック」にてまなびポケット上から提供しているAARポータルを、モデル校として先行導入いただきました。活用された先生方に、AARポータルを用いた振り返りの工夫や授業での活用、授業改善につなげる取り組みについてお話を伺いました。
AARポータルとは?
AARポータル(Anticipation-Action-Reflection)は、子どもたちが学習の「見通し(A)」「実行(A)」「振り返り(R)」を記録し、先生がそれに対してフィードバックを行うためのプラットフォームです。特に「振り返り」の可視化に強みを持ち、写真やスタンプ機能を活用することで、従来の紙のノートでは難しかった、動的な学習プロセスの蓄積を可能にします。
算数だけでなく図工や総合的な学習の時間など実技教科でAARポータルを活用された理由を教えてください。
河野: 図工や総合などは、普段あまりノートを使わないため、振り返りをどう残すかについていつも悩んでいました。そこで、ICTを使うと充実した振り返り活動ができるのではと考えたのが、選んだ理由です。
実技教科では、これまでもChromebookを使ってお手本動画を見たり、発表資料を作成したりしてきました。そうした日常的な活用の延長線上で、AARポータルもスムーズに取り入れられると感じました。
毛戸: 算数では、子どもたちから「板書を写真に撮りたい」という声が上がったのが印象的でした。ノートを書くのが追いつかない子や、算数に苦手意識がある子にとって、板書を写真で残せることは安心感につながっていたようです。
文字コメントに加えてスタンプでフィードバックができる点も、ノートに花丸をもらうような感覚で、子どもたちの意欲を高めていました。
図工ではどのように活用をされたのでしょうか?
毛戸: 「糸のこで伝言板を制作」という単元で利用しました。完成した作品だけでなく、制作途中の写真を見ながら、「今日はここまでできたから、次はこうしよう」と、次の授業の冒頭に課題設定をするために活用しています。
自分の進捗を振り返られるだけでなく、私たち教員側にとっても大きなメリットがありました。例えば、出張などで担任以外の先生が授業を担当した場合でも、後からAARポータルで子どもたちの写真を確認すれば、誰がどこまで進んでいるのかを正確に把握できます。
図工では、これまで毎時間振り返りの機会を取りにくい面がありましたが、「写真を撮る」というステップが加わることで、振り返りが自然と習慣化されました。
写真と言葉がセットで残ることで、子どもにとっても非常に分かりやすい変化だったと思います。
データはどのように活用されていますか?また、今後の展望を教えてください。
河野: 月に数回ほど確認しています。特に「ドリルパーク」での自主学習について、実際に取り組めているか、どこでつまずいているかを把握するのに役立っています。
例えば、面積の計算では割り算の知識が身についていないと先に進めません。ダッシュボードで個々の演習状況を確認しながら、頑張りを認めつつ、個別にサポートする際の判断材料にしています。
今後については、授業で使っているアプリとAARポータルがより一本化されれば、さらに気軽に使えると感じています。ツールが分散せず、一つの場所で学習と記録が完結すれば、活用の幅はより広がるはずです。
AARポータルでどのように振り返りを実践されましたか?
大釜: 算数ではタブレットを使ったプログラミング、図工では「ペットボトルのキャップを使ってなにしよう」という制作活動での振り返りに活用しました。どちらも、私が活動の様子や作品を写真で撮ってアップロードし、子どもたちは記録された写真を見ながら、「何をしたのか」「どこがうまくいったのか」を思い出し、スタンプで理解度や満足度を表現します。
1年生では、タブレットを使って自分で写真を撮るのは難しい場面もありますが、写真を起点に振り返りができる点は大きなメリットだと感じています。スタンプで理解度や満足度を表せることも、子どもたちにとって分かりやすく、取り組みやすいと感じました。
総合の時間でどのように活用されたのかを教えてください。
名畑: 総合の時間に行った「大崎の音を作る」ワークショップの様子を撮影し、次の時間に学びを整理する目的でAARポータルを活用しました。活動中の様子が写真として残っていることで、子どもたちはワークショップを思い出しながら、「何が分かったのか」「どんな気づきがあったのか」を振り返りやすくなります。
写真を見ながら理解度や満足度を入力したり、コメントを書いたりすることで、自分の感じたことを言葉にしやすくなり、その後のディスカッションも深まりました。振り返りと対話を組み合わせやすい点は、総合の時間との相性が良いと感じました。


AARポータルを使って授業の振り返りを入力している様子
振り返りのデータは、授業にどのように活かされていますか?
名畑: 理解度・満足度が数値で見えることで、次の授業計画に反映しやすくなりました。算数では、コメントや平均値の推移からつまずくタイミングが分かり、復習の時間をしっかり取ってから次に進むようにしています。誰がまだ振り返りを終えていないかも一目で分かるので、声かけもしやすいですね。
大釜: 振り返りの方法に選択肢が増えたのは良かった点です。ノートの方が合う子もいれば、タブレットの方が取り組みやすい子もいます。スタンプの押しやすさや、記録が蓄積されていく良さは魅力です。一方で、ローマ字入力が難しい学年に本当に合っているのか、「楽しい」という評価軸でよいのかなど、使い方は今後も考えていきたいですね。

ダッシュボード AARポータルのカード例、振り返り状況の推移が示されている
お話を伺った先生方の実践からは、学びの過程を記録し、振り返りや対話を通して次の学びへとつなげていく、現場ならではの工夫が感じられました。